同時代の隣人の気持ちであっても分からないことが多いのに、他の時代や地域に生きる人々の心などどうして知れようか。 この難問に毅然(きぜん)ととり組んだ本書はそれだけで傾聴に値する。 著者はローマ帝政期の ロエベのアイコンである「パズルバッグ」をイメージソースに、コントラストカラーで構築した幾何学デザインのコンパクトウォレット。 ◆「何も伝えていない」言葉を斬る 本書は時評エッセイで、その時々に世の中に現れる言葉がどう使われるかを、顕微鏡で観察し分析するように書かれている。 著者は重箱の隅をつついているのではなく、重箱の隅まで