〜本書の解題「からまりあう歴史から生存の政治へ」を一部抜粋し、掲載いたします〜
小さな赤ちゃんが目の前にいて、その世話をしなければいけないのに、身体が重くて頭がぼうっとして、何をどうすればいいのか、 レバノンの首都ベイルートは、世界最古の都市の一つである。 1950年代から1970年代にかけて、「中東のパリ」と呼ばれていた。 1975年に始まった15年間の内戦によって、ベイルートの「黄金時代」は終わり 同時代の隣人の気持ちであっても分からないことが多いのに、他の時代や地域に生きる人々の心などどうして知れようか。 この難問に毅然(きぜん)ととり組んだ本書はそれだけで傾聴に値する。 著者はローマ帝政期の