数年前の夏。 細木数子の半生を描いたドラマ『地獄に堕ちるわよ』のオーディションが都内の撮影所で行われていた。 「身長190cmの強面」という両親に感謝しかない武器で、ヤクザの手下役の書類審査を通過した僕は 近年、東京で存在感を増している「レコードバー」。 店主が選んだレコードに耳を傾けながら、お酒や食事を楽しむ空間だ。 かつては音楽マニアや常連客が集う、少し敷居の高い場所という印象もあったが、最近はその楽し 「この場面も遠い遠い、自分なりの覚え方しかしてへん思い出になってしまうな。 」(井戸川射子、『ここはとても速い川』、講談社、P38)【#1】頬張る景色この小説の主人公、集(しゅう)は、忘れたくない瞬間を